通信・交通の発達に伴い、世界はかつてないほど狭くなりました。
インターネットが世界をつなぎ、個人が主体的に世界にかかわることができるようになった一方、環境破壊、南北問題、紛争、難民、疫病、飢餓、自然災害など、様々な世界規模の問題も噴出しています。
現在、世界には、戦いの危険や投獄される苦痛や飢えの悲痛、あるいは死の恐怖に脅かされている人が30億人いると言われています。
世界を100人の村に例えたら、
80人は標準以下の居住環境に住み、70人は文字が読めません。
50人は栄養失調に苦しみ、1人が瀕死の状態にあります。
(『世界がもし100人の村だったら』マガジンハウス/池田香代子)参照
世界の格差はますます溝を深め、メタボ対策に苦心する国がある一方で、餓死していく人々が年間500万人居るという現状です。
私たちが平和な日常を過ごしている間にも、世界の国々では、国家や民族間の争いにまきこまれ、親を失くし、家を失くし、手足を失くし、命すら失くしてしまう子供たちが増えているのです。
地雷で両腕をなくした子供の悲痛な訴え、紛争で子供を失った両親の悲しみをテレビの向こうに見るたび、胸が締め付けられる思いがしました。買い物をするたび、居酒屋のテーブルを食べ物でいっぱいにするたび、これだけのお金でどれほどの命を疫病から救えただろう、これだけの食料で世界のどれだけの人の餓えを満たせただろうと、いつも罪悪感を感じていました。
私たちの豊かさは、どこかの国の犠牲の上に成り立っているという事実を知らなければなりません。そうすれば、貧困や紛争など世界の諸問題が、自分たちとは無関係ではないことが自覚されるでしょう。
日本人として、地球人として、一僧侶として、世界の賢善な発展に少しでも寄与できないだろうか?
こうして2011年、「Bodhi-Tree」を設立致しました。
これは、社会活動で得た収益ならびに、志を同じくする団体や個人の善意からの寄付を、世界の人権、平和、及び人道救済に役立てることを目的としています。
慈善活動に従事する個人および団体が継続的に活動できるように、その人的及び経済的支援などを行い、世界の人々が安全に、平和に、幸せに暮らせる社会の実現を目指し、世界の発展に貢献することを指標に掲げています。
「東京ヴィパッサナー瞑想道場」、チャリティーコンサート(高野山1000年まつり 他)、出版物(『サラスワティーに連れられて インドを旅する』他)、サイト「Sangha.net」、各種催しなどで得た収益ならびに善意で寄せられた寄付金を、インド「シッダールタ・フリー・チルドレン教育センター」他教育機関への支援、ヴェトナムでのHIVに感染した女性やストリートチルドレンの自立支援、地雷撤去、干ばつ地の井戸掘りなどへの財的・人的支援に当てられます。
今日、慈善事業のあり方が問われています。
一方的な価値観の押しつけ、持続不可能な設備への無駄な投資、慈善事業団体の活動資金の肥大化、〝お恵み的〟財政支援がその地域の自立をかえって阻害してしまうことなど、考え直さなければならない問題は山積みです。
援助活動に当たっては、他国・地域の文化への理解と尊重が不可欠です。とはいえ、人権や生命が脅かされるような場合には、確固たる意志をもって対応していかなければなりません。
今後の指標としては、しっかりとした現地調査を行い、自立と継続を目的とした地域社会の実現を目指す支援が求められていくことでしょう。
Bodhi-Treeの慈善事業・支援活動は、ただお金を融資・寄付するだけではなく、「顔の見える活動」として、実際に現地に赴き、直にその目で見て、耳で聞いた地域の声を活かし、相互に学び合い、理解し合い、共に発展・成長していくことを目的としています。
「他人」「自分」という認識を超えて、私たちは人類という共同体です。
他人が他人でなくなった時、他人の幸せは自分の幸せとなります。
そう思えたなら、もはや「私」と「世界」は無関係ではありません。
この世界のために、私たちができることはないだろうか?私に何ができるだろうか?
その問いは、世界に向けられたあなたからの慈愛のメッセージです。
現実に対して、私たちは決して無力ではありません。
どうか無関心を取り払って、私たちの活動に理解を示し、この世界のために、この星の未来を担う子供たちのために、あなたの力を貸してください。
願わくは、相互扶助の輪が広がって、世界にたくさんの笑顔をもたらすことができますように
生きとし生けるものが幸せでありますように 合掌