地雷撤去

現在、地球上には、約6000万から一億個の地雷があると言われています。これは、現在のペースで除去(年間10万個)していっても約千年かかる数です。

地雷のほとんどは、戦争や紛争の際、敵の進軍を阻止するために前線に埋められました。しかし、前線が刻一刻と移動する内戦にあっては、もはや誰がどこに埋めたのかさえわからなくなっています。
戦争終了後も、埋められた地雷によって死傷する人は後を絶ちません。年間2500人以上(20分に一人の割合)の人が、地雷により手足や器官、命すら失くしているのです。

地雷は、対人用地雷と対戦車用地雷とに大別されます。
対人用地雷は、人の体重ほどの圧力がかかると爆発するものです。その破壊力は、被害者を決して殺すことなく、重症を負わせることにより治療や看護などで敵の戦力を削ぐことを目的としています。
対戦車用地雷は、戦車を吹っ飛ばすほどの破壊力を持ち、100キロ以上の加圧がなければ爆発しませんが、バスなどがその上を通り、乗客を全滅させるような被害が起こっています。
また、対人用が対戦車用を誘発したり、飛び上がって半径100メートルに鉄の雨を降らし全滅させるもの、トラップに触れると爆発するものなど、その仕様は様々です。

いずれも無差別に人を殺傷することを目的としています。被害は兵士に留まらず、一般人、子供をも巻き添えにしています。また、地雷源は耕作地や住宅地にできないため、田畑や林業、国力の衰退にまで、暗い影を落としています。

このような非人道的兵器の生産・保有を禁止する条約が1997年、カナダにて取り交わされました。(オタワ条約)
しかし、アメリカ、ロシア、中国、平和が見えないアラブ・東アジア諸国は、この条約の批准を拒否し、現在も生産を続けています。(日本は100万個を所有し、現在廃棄処理中です)

現在、地雷撤去の組織としては、日本の「カンボジア地雷撤去キャンペーン(Cambodia Mines-remove Campaign)」、特定非営利活動法人「地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)」、認定特定非営利活動法人「日本地雷処理を支援する会(Japan Mine Action Service)」、イギリスに本部をおき世界中で地雷や不発弾などを撤去しているNGO「ヘイロー・トラスト(The Halo Trust)」などが活動しています。
土ごと地雷源を掘り進む重機もありますが、結局、人の手で一つ一つ慎重に取り除いていく以外に方法がないのが実情です。

Bodhi-Treeとして

昔、テレビで、地雷で手を吹き飛ばされた子供を見ました。庭で遊んでいた際に、触雷(地雷に触れること)し、一瞬で手を失くしたと解説がありました。外で自由に遊ぶことすらできない同世代がいることに大きなショックを受けました。子供であるがゆえに、「傷口から骨が伸びてきて痛い」と語っていました。悲劇は一瞬ではない、この先もずっと続いていくのだ、とその子の将来を思い胸が苦しくなりました。
大人になってから、『物乞う仏陀』という一冊の本に出会いました。その中に、地雷で足を失った車椅子の青年の件がありました。青年は、地雷により足を失ったのみならず、破片で男性器を損傷、以来不倶となってしまったと語られていました。
痛ましい話を度々耳にし、私の地雷撤去への思いは強くなっていきました。

「世界のためにできることは何だろう?」とは、簡単に答えの出る問いではないように思います。今日の世界は、私たちの思いもよらないほど複雑で、まさに「一方を立てれば、他方がたたず」。蜘蛛の巣にかかった蝶が可哀想だと逃がしてやれば、今度は蜘蛛が可哀想、といった風な次第です。
それでも、「地雷を撤去する」ことは、「一人の命を救うこと」に間違いありません。一つの地雷を撤去できたなら、それはすなわち、一人の人生を救うことになるのです。

地雷を撤去し、子供たちに安全な遊び場を提供すること。
地雷の取り除かれた地に花を植え、土地を耕す。井戸を掘る。畑を作る。苗を植える。家を建て、学校ができる。そして、その学校で子供たちが学び、幸せになっていく。
Bodhi-Treeでは、そのようなビジョンを描いています。
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